香典のマナー 〜相場の金額や香典袋の書き方まで〜 |ベルホール
はじめに
香典とは、お香(線香)の代わりに霊前に供える金品のことを言います。
今日の仏教の葬儀では「ご香典」「ご香料」といった不祝儀袋を持参することが多いですが、この名前は焼香に由来したものです。
かつてお香は非常に高価で、技術も発達していなかった為、一晩中香を焚き続けるのは大変でした。
その為、遺族や友人や近所の人がそれぞれお香を持ち寄っていたのです。
現在では、お香を持ち寄るという当時の習慣はなくなってしまいましたが、代わりに「お香典」として現金を包むという習わしになりました。
これには、遺族の突然の出費を助ける意味合いもあります。
ここでは、大まかなマナーや香典袋の書き方などについて説明していますので、法事で香典を渡す際の参考にしてみてください。
大まかな香典のマナー
偶数の金額や、忌み数はNG
- 偶数=割り切れる、つまり故人との縁を切るというイメージにつながってしまうため、包む金額は奇数にしたほうが無難です。
- また、縁起が悪いと捉えられている忌み数(4や9)も避けた方がいいでしょう。
新札はNG
- 結婚式などの慶事では新札を用意するのがマナーですが、弔事で新札を包むと「不幸があることを予期して準備していた」といった悪い印象を与えてしまいます。
- あえて古いお札を用意してください。
- 新札しか用意できなかった場合は、縦横どちらでも良いので折り目をつけるなどしましょう。
お札の枚数が偶数はNG
- 金額と同様にお札の枚数も奇数になるようにしましょう。
何度も渡すのはNG
- 通夜ですでにお渡したのに、告別式や葬儀で再度お渡しするのは「不幸が重なる」という宗教的考えからタブーとされています。
- また、後から金額が足りなかったと思っても再度お渡しするのはやめましょう。
- 会社関係などで連名で出した場合も、個人で香典を出したりしないように気をつけてください。
香典袋をそのまま持っていくのはNG
- 必ずふくさに包んでおきましょう。
香典の渡し方
【参列する時の香典の渡し方】
- 受付で芳名帳に記帳する番になる前に、鞄からふくさに包んだ香典を出して手に持って準備しておきましょう。
- 自分の番になったら、「この度はご愁傷様でございます」と一言お悔やみを述べて、芳名帳に名前を記帳します。
- お仕事関係や友人の分など、他の方の御香典を預かっている場合はその方たちの名前も全員分記帳しましょう。
【参列できない時の香典の渡し方】
・郵送する
- 郵便局で現金書留で送ることができます。
- 窓口で香典であることを伝えれば、専用の封筒(有料)を用意してくれますのでそれで送りましょう。
- その際、お悔やみと参列できないお詫びを手紙に書いて添えることをお勧めします。
・参列する人に預ける/代理人から渡してもらう
- 友人や知人が参列するのであればその方に渡してもらうと良いでしょう。
- また、代理人をたてる事もできます。
- この場合は、会社関係者のお葬式であれば同僚や部下に頼むのが一般的です。
- 代理人が故人とゆかりがなくてもマナー違反ではありませんので安心してください。
- 併せて弔電を送るとより丁寧です。
・後日弔問の際に渡す
- 郵送や代わりの人に預けるのも難しい時、または喪家(ご遺族)に直接お悔やみを述べたい時は、後日弔問に伺って香典をお渡しすると良いでしょう。
- その際は、お葬式後の慌ただしい時期を避け、三~四十九日の間にお伺いするのが一般的です。
こちらも併せて弔電を送ってからの訪問が好ましいです。
香典の相場
親族1〜10万円、知人や友人3千〜1万円、会社関係者5千円〜1万円が相場の目安です。
これは関係性や年齢によっては少し変わりますので、下の図を参考にしてみて下さい。
【親族の場合】
◇◇◇ポイント◇◇◇
- ・喪主の場合や葬儀費用を出している場合は香典は不要です。
- ・両親に扶養されている場合も香典は不要です。
- ・結婚している場合は夫婦連名で包む方が多いです。(別でも可)
- ・他に兄弟や姉妹がいる場合は相談をして金額を揃えるのもおすすめです。
- ・叔父や叔母、その他親戚の香典は、特に生前親しい関係かによって変わります。 親しかった場合は相場より気持ち多めに包んであげると良いでしょう。
【知人、友人の場合】
3千円~1万円が相場です。
【仕事関係、職場の人の場合】
◇◇◇ポイント◇◇◇
ー故人が上司(上司の家族)の場合ー
- ・直属の上司やお世話になった方かにもよりますが、5千円~1万円が相場です。
- ・先輩や上司が包む金額より少なく出した方が良いでしょう。
- ・部下の社員が多い時は基本的には連名で出すことが多いので、会社や部署の上の人の指示に従って出しましょう。
ー故人が同僚の場合ー
- ・親しさにもよりますが、3千円~1万円が相場です。
- ・できるだけ同僚と同額で合わせた方が良いでしょう。
- ・複数の同僚と連名で包む場合は、1~3万円が相場です。
ー故人が部下の場合ー
- ・会社の規模にもよりますが、一般的には社葬を執り行うか、もしくは役員などがまとめて香典を出します。
- ・規模の小さい会社や、社長と日常的に業務などで顔を合わせていたのであれば5千円~1万円ほどが相場です。
【取引先の場合】
基本的には法人として会社の代表が香典を包みますので、個人で出す必要はありません。相場は1万円~10万円程度です。
香典袋(不祝儀袋)の種類や書き方
香典袋(不祝儀袋)とは、香典を入れる封筒のことです。
水引と呼ばれる飾り紐が施されているものが多いですが、宗教や風習、包む金額によって様々な種類や形式がありますので、事前に調べてから購入すると良いでしょう。
また、特に外袋の表書きは宗派によって違うものですので、しっかり故人様の宗派を確認しましょう。
香典袋(不祝儀袋)はコンビニやスーパー、文具店や百均などで購入できます。
また、表書きはサインペンやボールペンの使用は避け、筆ペンで書いてください。この際、できれば薄墨のものを使用するのがより好ましいです。
いくつかの説がありますが、その一つは、故人を悼む涙で墨が滲んで薄くなったという表現のためです。
通夜、告別式、葬儀、初七日は薄墨を使用するのがマナーとされている地域や宗派が多いですが、それ以降の法事(四十九日や一回忌など)は通常の濃墨の筆ペンで書きます。
~基本的に不祝儀袋でセットになっているもの~
- ・外袋(表袋)…金封の一番外になる袋
- ・短冊…表書きと名前を書く細長い和紙
- ・中袋(内袋)…お金を入れる白い封筒
※表書きとはここでは「御仏前」「御霊前」などの香典の名目のことです。
【香典袋に書く内容】
【表書きの書き方 宗派別】
外袋の表面の上段に表書きを書きます。
◇◇◇ポイント◇◇◇
- ・毛筆で記入(できれば薄墨)
- ・浄土真宗、曹洞宗は通夜や葬儀で「御仏前」を使用 (「御仏前」は仏教・仏式において基本的には四十九日以降に用いられます)
【名前の書き方】
外袋の表面の下段にご自身の名前をフルネームで書きます。
◇◇◇ポイント◇◇◇
- ・毛筆で記入(できれば薄墨)
- ・肩書きは右側に小さく記載
【名前の書き方 人数別】
【中袋(内袋)の書き方】
香典袋の中袋(内袋)がある場合、表面に金額、裏面に住所と名前を記入します。
中袋(内袋)がない場合、香典袋の裏面に郵便番号、住所、名前、金額を記入します。
◇◇◇ポイント◇◇◇
- ・内袋の表には大字の漢数字で金額を記入
- 例:壱、弐、参…
- ・金額の前に「金」、末尾に「也」を入れる(金〇〇圓也)
- 例:5000円なら→金伍阡圓也
【香典のお金の入れ方】
- ・お札は香典袋の裏面にお札の顔(表)がくるように入れましょう。
- これは悲しみで顔を伏せる意味合いがあります。
- 中袋(内袋)が付いているもの、付いていないものどちらでも同じです。
- ・お札の上下は地域によって違うので、基本的にはどちらが上でも構いません。
- ・マナー部分で先述したとおり、古いお札で奇数で包んでください。
【香典袋(不祝儀袋)の選び方 金額別】
中身の金額と香典袋が不釣り合いにならないように、金額に合わせて選ぶと良いでしょう。
【水引きの種類】
◇◇◇ポイント◇◇◇
- ・葬儀や法事での水引きは必ず、「結びきり」です。不幸を繰り返さない意味があります。
- ・関西地方では黄白の水引きを用いることもあります。
- ・キリスト式(カトリック、プロテスタント)においては、水引の決まりは特に無し
まとめ
焼香はそこまで神経質にならず追悼の想いを込めて行えば良いですが、香典に関しては宗派やマナーを気にする方も多いので、悲しみに暮れるご遺族のためにも是非しっかりと事前に確認してからお渡ししてください。
また、香典を受け取った喪家(遺族)の「香典返し」についてはこちらで詳しく説明しています。
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