出棺、火葬、収骨の基礎知識とマナー |ベルホール
はじめに
お葬式や告別式が無事に終わったら、出棺と火葬の儀式に移ります。
出棺も火葬も、なんとなくどんなことをするのかご存じの方が多いとお思いますが、意外なマナーやしきたりに戸惑うこともあるかもしれません。
特に火葬は、通夜や葬儀に比べて参列する機会がより一層少ないので、ぜひ何をするのか心配な方はこちらの記事を参考にしてみてください。
出棺から火葬(収骨)までの流れ
大まかに流れをご説明すると、
お葬式(告別式)→ 花入れの儀→ 釘打ちの儀→ 出棺→ 火葬→ 収骨→ 帰宅
といった順に行われます。
前述した通り、葬式と告別式が終わったら出棺の儀式に移りますが、具体的に何をするのか順にご説明します。
【花入れの儀】
出棺をする前に「花入れの儀」、「別れ花」と言われるご遺体の周りを生花で飾るお別れの儀式があります。
これは宗派を問わず多くの葬儀で共通して行われます。
喪主をはじめとする遺族や親族など、故人と近しい関係にあった方から順番に棺の中にお花を入れていきます。
花入れの花は、基本的に葬儀会社が用意する祭壇の花を使用しますので、ご持参の必要はありません。
配られた花をご遺体のお顔側から体を囲うように添えていきます。
故人のお顔が見られる最後の時間ですので、この時にぜひ、お別れの言葉を言ってあげてください。
また、花入れの際に可燃のものであれば思い出の品なども一緒に入れることができます。
花以外に棺に入れる品を「副葬品」と言います。
副葬品は、寄せ書きや手紙、ぬいぐるみ、タバコやお菓子、写真、愛用していた服などが収められることが多いです。
【釘打ちの儀】
花入れの儀が終わったら、棺の蓋をしめて釘を打つ「釘打ちの儀」を行います。
しかし、これは花入れの儀と異なり、宗派や地域によっては行われないこともありますし、四隅のうち一箇所のみの場合や、葬儀会社のスタッフが全て打ち込む場合もあります。
近年では省略されることも多くなってきているようです。
まず葬儀会社のスタッフが半分ほど釘を打ちます。
そして、喪主や遺族、親族などが縁の深い人の順で釘を2回ずつ打っていきます。
多くの仏式の葬儀では石を使って打ちますが、金槌を使用することもあります。
この釘打ちをする行為は、三途の川の話に由来しています。
仏教では、死者は三途の川を渡って成仏するとされていますので、その河原の石に見立てた石で棺の釘を打つことで、無事に三途の川を渡れるようにと願いを込めて行われてきました。
ちなみに一般の参列者の方が釘打ちをすることは滅多にありません。
【出棺】
出棺とは、故人のお棺を、葬儀会場(斎場)から火葬場へ送り出す一連の儀式のことを指します。
釘打ちの儀が終わって出棺の準備が整ったら、遺族や故人と親しい男性数名(6人ほど)で棺を霊柩車に運び込みます。
その時、一般的に喪主が位牌を持ち、霊柩車の助手席に乗車し、遺影は配偶者かご子息やご息女が持って霊柩車の後部座席に乗車します。
そのほかの遺族や親族はマイクロバスやハイヤーなどで火葬場まで向かいます。
一般の参列者の方々は出棺が故人様との最後のお別れの儀式になりますので、急用でない限りきちんと最後までお見送りをしましょう。
【火葬】
火葬とは、現在日本で最も一般的に行われている埋葬方法で、棺桶に入ったご遺体を火葬場で焼いて、焼骨を骨壷に入れて埋葬することを指します。
昔は土葬(棺桶に入ったご遺体をそのまま墓地に埋める)が主流だったこともありますが、近年の日本においては条例で禁止されていたり、土葬が行える墓地が殆どありません。
また、故人を火葬することを「荼毘に伏す」と言いますが、これは仏教用語になるので他の宗派では使用しない表現です。
火葬をする前に、火葬炉の前面に棺を置いて祭壇に位牌や遺影を飾り、焼香と読経が行われます。
その後、合掌をして火葬炉へ故人をお見送りします。
この一連の流れは「納めの式」と呼ばれ、火葬前の最後のお別れの儀式になります。
故人の体型や火葬炉の性能によって多少前後しますが、火葬の時間は約1時間半です。
待ち時間には、用意された控え室でお酒やお茶菓子などが振る舞われることが多いのですが、火葬の待ち時間が長い場合などにはこの間に精進落としが振る舞われる場合もあります。
精進落としには供養の意味がありますので、食欲がなくても、箸をつけるだけで良いので頂いてください。
【収骨】
火葬が終わったら、収骨に移ります。
故人のお骨を確認し、骨壷に入れることを「収骨」、「お骨上げ」と呼びます。
収骨をする時は、二人一組で長い箸を使用して一緒にお骨を拾いあげます。
この「箸渡し」は、故人が三途の川をきちんと渡り切れるように「橋渡し」をするという意味が込められています。
普段の食事の際に箸から箸で食べ物を受け取るとこが縁起が悪いとしてマナー違反になっているのは、この「橋渡し」の考え方からです。
お骨は、故人と血縁の深い方から順に、足側から頭に向かって収めていきます。
そして、喉仏は故人と最も縁の深かった人が収め、最後に頭骨で蓋をして終了です。
【その後】
最近では、遠方から遺族親族が来る場合や、葬儀の日にちが初七日法要に近いなどの理由から火葬後に初七日法要と精進落としを頂くことも増えてきました。
火葬が昼食の時間に近い場合は出棺前に初七日法要を繰り上げて行うこともあります。
必ずこの順番でしなくてはならないという訳ではないので、喪家の方々の意向や火葬場の予約状況で多少順番が前後することがありますが、喪主の方か、葬儀会社や火葬場のスタッフから必ず案内がありますので安心してください。
また、精進落としに呼ばれた場合は、供養の意味もありますので、食欲がなくても召し上がってください。
箸をつける程度で構いません。
なお、精進落としの際には、喪主などの代表者様からお礼のご挨拶があり、献杯(乾杯のこと)をしてからお食事になります。
最後に代表者様から挨拶があり、解散の流れになります。
基本的なマナー
ご遺族を含めて参列者の方々は故人の死を深く悲しんでいます。
そんな最期のお別れの場で失礼のないように、いくつか大まかなマナーをご紹介しますので参考になさってください。
別れ花(花入れの儀)のマナー
・華美な装飾の花は避ける
故人の好きな花や思い出の花や、何か入れたい花があれば持参してOKです。
その際には華美な装飾にならないようにしましょう。
・赤や黒などの色の濃い花は避ける
基本的には白や落ち着いた色の花を入れるのが好まれますが、近年ではカーネーションなどの鮮やかな花も入れる傾向にあります。
しかし、血液を連想する赤や、火葬した際に骨に着色してしまうような黒や色の濃いものはできるだけ避けましょう。
・棘のある花、毒のある花は避ける
イメージ的にあまり良くないので選ばない方が無難です。
しかし、故人の好きな花である場合は葬儀会社に確認してみましょう。(例:薔薇、ブーゲンビリア)
・副葬品は「不燃物」「危険物」「水分を多く含む食べ物」「他人が写っている写真」はNG
基本的に可燃物であれば故人の思い出の品や、生前好きだったものを入れて構いません。
しかし、写真は一緒に写っている人が連れて行かれるなどの迷信があるため、よく思わない方もいらっしゃいますので確認するなどの注意が必要です。
また、時計やアクセサリー類などの不燃物や水分の多い食べ物はご遺体を損傷させてしまうことや、燃え残ってしまうことがあるので入れてはいけません。
また、ライターやプラスチック製のおもちゃなど、燃やすと危険なものや公害になるものも入れてはいけません。
出棺のマナー
・喪家側の挨拶の際にはコートなどの上着は脱ぎましょう。
冬の寒い日の屋外でしたら、コートなどを着ていても問題ありません。
火葬のマナー
・火葬場への同行は親しい人のみ
火葬場へ同行するのは遺族や親族、生前故人とかなり親しい間柄の友人などに限られます。
誰でも同行して良いわけでは無いので注意が必要です。
・撮影は禁止
当たり前のことですが、遺族はもちろん参列する方々は悲しみの中にいます。
故人との最後のお別れを記念して撮影しておきたいという気持ちを持ってしまうかもしれませんが、これはマナー違反ですので絶対にしないでください。
待ち時間のマナー
・控え室では大声や笑い声はNG
故人との思い出を他の参列者の方と語り合うのは供養になりますので、ぜひ用意された茶菓子(または精進落とし)を食べながらお話ししてください。
ただし、大声で騒いだり大きな笑い声を立てるのはやめましょう。
その他、葬儀のマナーや服装については別のコラムでもまとめていますので、お時間があれば読んでみてくださいね。
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