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エンバーミングとは 〜大切な人と過ごす最後の時間を豊かに〜

2024/04/13
喪主/ご遺族様


はじめに

愛する人との別れは、誰にとっても辛い経験です。


故人との最後のお別れの時間は、できるだけしっかりとした気持ちで迎え、故人の冥福を祈りたいと思うことでしょう。


残された人たちが「死と向き合う時間」を作ることは、大切な人を亡くしたことを受け入れ、悲しみを昇華し、少しずつ普段の生活を取り戻していくために重要なことなのです


そのため、ご遺体は生前の姿に近いことが望ましいでしょう。


一般的に日本では人が亡くなると、ご遺体に死化粧(エンゼルケア)を施します。


そのメイクで、血色が良く見えるように色をのせたり、普段通りの化粧をしたりして、生前の姿に近づけるのです。


そして、お葬式まで遺体の腐敗が進まないように、ドライアイスや室温管理によってご遺体の状態を保ちます。


しかし、その処置では長期間状態を保つことはできません。


湿度や気温の高い夏場や、葬儀まで時間がかかる場合は「エンバーミング」をするといいでしょう。


エンバーミングは、遺体の腐敗を防ぎ、長期間保存する技術です。


ご遺体はほぼ100%火葬される日本で「エンバーミング」はまだ知名度が低く、どんなものなのか知らない人も多いでしょう。


近年は、以前より少しずつではありますがエンバーミングを選択する人が増えています。


このコラムでは、エンバーミングの役割、メリット・デメリット、流れ、注意点などを解説していきます。


エンバーミングを検討している方は、ぜひ参考になさってください。



エンバーミングとは

 


エンバーミングは、日本語で「遺体衛生保全」と呼ばれます。


遺体に殺菌消毒・防腐・修復・化粧を施すことで、生前の姿に近い状態で、清潔に長期間保存することができる技術です。


専門の資格を持つ「エンバーマー」によって行われます。


具体的には、遺体の保全処置として、血液系を利用して血液と防腐剤を完全に入れ替え、全身を灌流固定します。


(引用:一般社団法人 日本遺体衛生保全協会「エンバーミングとは」https://www.embalming.jp/embalming/)


また、消化器官から残存物の除去も行いますので、感染症を引き起こす病原菌も激減させることができますし、ご遺体を常温で保存することが可能になります。


これにより、室内温度の調整がいらず、また、通常火葬までに使用する多くのドライアイスの費用を削減することもできます。


◇◇ エンバーミングが適しているケース ◇◇



  • ・お葬式(火葬)まで日数がかかる場合

  • ・湿度や気温の高い地域に住んでいる場合

  • ・夏場

  • ・事故などによって遺体の損傷が激しい場合

  • ・闘病生活や老化でひどく顔がやつれている場合

  • ・著名人で参列者が多い場合


◇◇ エンバーミングの歴史 ◇◇


エンバーミングの歴史は古く、古代エジプトのミイラ作りにまで遡ります。


ミイラ作りは、宗教的な理由から行われていましたが、エンバーミングと共通する技術が使われています。


近代的なエンバーミングの起源は、19世紀のアメリカです。


南北戦争で多くの兵士が亡くなり、遺体を故郷に送るために保存技術が必要となりました。


1860年代に、ホルマリンという防腐剤が発見され、エンバーミング技術が確立されました。


その後、エンバーミング技術はアメリカで発展し、20世紀には世界中に広まりました。


土葬が主流のアメリカでは、今では90%以上がエンバーミングを行います


日本では、1988年に初めてエンバーミング施設が設立されました。


日本は火葬が主流のためにこれまであまり知られていませんでしたが、近年では、災害時の遺体保存や、海外への遺体搬送などのニーズの高まりから、エンバーミングの需要が少しずつ増えてきています。


エンバーミングの4つの役割

エンバーミングには、以下の4つの役割があります。



①消毒、殺菌



  • 遺体の腐敗が元となる病原菌やウイルスからの感染症のリスクを抑え、公衆衛生を守ります。

  • 特に、エイズやB型肝炎などの感染症患者や、夏場など気温が高い場合に有効です。


②腐敗の防止



  • 薬剤で腐敗防止処置を施すことにより、遺体の腐敗を長期間抑制します。

  • 通常、遺体は死後数時間から数日で腐敗が始まりますが、エンバーミングを施すことで、数週間から数年程度、場合によっては数十年程度も遺体を保存することができます。

  • そのため臭いもほとんどしません。


③修復、化粧



  • 事故や病気などで損傷した遺体を修復したり、化粧をすることで、より自然な顔色や表情に近づけることもでき、故人を尊厳のある姿で送り出すことができます。

  • 生前の姿に近い状態で故人を保存することで、ご遺族の心に安らぎを与えます。


④心ゆくまでのお別れ



  • エンバーミングを施すことで、遺体の腐敗臭を抑え、長期間安置ができるようになります。

  • これにより、遠方への搬送や、ご遺族が時間をかけて故人とゆっくりお別れすることが可能になります。

  • また、遠方に住んでいる親族や友人が駆けつけられるまで安置したり、お葬式をゆっくりと準備したりすることもできます。


メリットとデメリット


◇◇ エンバーミングのメリット ◇◇


①遺体の腐敗や悪臭を防ぎ、長期間保存が可能


通常、遺体は死後数時間から数日で腐敗が始まりますが、エンバーミングを施すことで、数週間から数年程度、場合によっては数十年程度も保存することができます。


遺体の腐敗を防ぐことで、感染症のリスクを抑え、衛生的な環境を保つことができます。


これは、特に高齢者や免疫力の弱い方にとって重要なメリットです。


また、遺体の腐敗臭を防ぐことで、葬儀や納棺の際にも臭いを気にせずに故人とゆっくりとお別れをすることができます。


②遠方へ搬送でき、お別れの時をゆっくり過ごせる


エンバーミングによって遺体を長期間保存することで、故人が海外など遠い場所で亡くなった際の長距離搬送が可能になります。


また、逆に、遠方に住んでいる親族や友人がお葬式に駆けつけられるまで安置したり、納棺式や葬儀をゆっくりと準備したりすることができます。


また、遺体の腐敗を気にせずに、時間をかけて故人とゆっくりお別れすることができます。


故人とゆっくりお別れをすることで、ご遺族の心のケアにもつながります。


これは、特に悲しみや喪失感を感じているご遺族にとって重要なメリットです。


③生前の姿に近い状態で故人を修復、保存できる


エンバーミングでは、事故などで損傷した遺体を修復することができます。


また、闘病生活や老化でひどく顔がやつれていたり顔色が悪い場合も、生前の姿に近い状態に遺体を修復することができるので、故人を尊厳のある姿で送り出すことができます。


悲しみや喪失感を感じているご遺族にとって、故人の姿を目にすることは大きな慰めとなります


④遺族や遺された人たちの心のケアができる


ご遺体を美しい姿で保存することで、ご遺族は故人をより身近に感じながら、故人と過ごした幸せな思い出を振り返ることができるのです。


これにより、悲しみや喪失感を乗り越えて前向きに生きていくための支えとなりご遺族や故人を大切に思う全ての人の心のケアにもつながります。


 


◇◇ エンバーミングのデメリット ◇◇


①費用が高額


エンバーミングは高度な技術と設備が必要となるため、費用が高額になり、経済的な負担が大きくなります。


葬儀費用を抑えたいご遺族にとっては、エンバーミングは現実的な選択肢ではない場合があります。


一般的に、エンバーミングの費用は約20万円~50万円程度です。


エンバーミングの費用対効果は価値観によって異なりますので、ご遺族でしっかりと予算について相談するといいでしょう。


②宗教的な理由で受け入れられない場合がある


エンバーミングに対する考え方は、宗教や文化によって異なり、特に死後の世界を重視する宗教では、エンバーミングは死後の魂の安寧を妨げる行為と考える場合があります。


そのため、遺体に手を加えることを禁じているキリスト教の一部教派やイスラム教では、遺体に不可逆的な変化を与えるエンバーミングは受け入れられません。


宗教的な理由でエンバーミングに反対する家族がいる場合は、その意見を尊重する必要があります。


エンバーミングを行うかどうかは、家族間の意見対立を引き起こす可能性があるので注意してください。


③遺体に不可逆的な変化を与える


エンバーミングは、遺体にホルマリンなどの化学物質を注入するため、不可逆的な変化を与え、遺体の色や質感などが変化します。


また、体内に注入された化学物質の影響で、火葬後の遺骨の色や形も変化する可能性もあります。


そのため、「遺体の自然な姿を守るべき」というエンバーミングに対する反対意見や倫理的な問題を孕んでいます。


遺族や親族の間でトラブルにならないように、事前にエンバーミングについてどう思うか意見を言い合いましょう。


また、誤解されることがありますが、エンバーミングは永久的なものではないので、死後の変化を完全に止めることはできません


時間経過とともに、遺体は徐々に変化していきます。


エンバーミングの流れ

①医師による死亡確認



  • 病院で医師による死亡確認、死亡診断書(死体検案書)の発行が必要です。


②エンバーマーによる説明と同意



  • エンバーミングを行う会社や施設から詳細の説明を受け、契約書などへサインを行います。

  • その際、「エンバーミング依頼書(同意書)」、「死亡診断書(死体検案書)」、故人の生前の写真などを提出します。


③遺体の搬送



  • 遺体安置所(または自宅等)からエンバーミングの会社や施設に遺体を搬送します。


④エンバーミング処理 



  • エンバーミング処置の所要時間は約3~6時間です。(場合によっては1日以上かかることもあります)

    遺体の状態を確認し、遺体の表面の洗浄や消毒、洗髪や洗顔などを行います。

  • 次に体内の血液や体液、残存物などを排出して洗浄します。

  • その後に体内に保全液(防腐剤など)を注入して防腐保全処置を行います。

    処置のために開けた穴や傷を縫合し、事故や病気などで顔や体に損壊がある場合には、損壊部分の修復も行います。最後に全身を再度洗浄します。


⑤着せ替え、化粧



  • 新しい衣服を着せて表情や髪の毛を整えます。

  • 血色を良くするような化粧や、普段から化粧をする方であればできるだけ普段の故人に近づけたメイクを施します。

  • その際に故人の写真が数枚あると仕上がりが良くなりますので、エンバーマーに渡しておきましょう。


⑥遺体の納棺、搬送



  • 納棺し終えたら施設から、自宅や斎場などの安置場所へ搬送します。


注意点

エンバーミングを検討する際には、以下のいくつかの点に注意する必要があります。


1. エンバーミングは医療行為ではない


エンバーミングは、医師による診断や治療を伴う医療行為ではありません。


遺体衛生保全と呼ばれる技術であり、遺体の腐敗を防ぎ、保存するための処置です。


死因によっては、エンバーミングを施せない場合もあるため、エンバーミングを行うには死因を特定するための医師の診断書が必要です。


また、エンバーミングを行うには、法律上「エンバーマー」と呼ばれる専門の資格を持つ必要がありますので、依頼する際は、必ず資格を持っているか確認しましょう。


2. 宗教によっては受け入れられない場合がある


エンバーミングは、遺体に不可逆的な変化を与えるため、宗教的な理由で受け入れられない場合があります。


特に、キリスト教の一部教派やイスラム教では、遺体に手を加えることを禁じているため、エンバーミングは受け入れられません。


エンバーミングに対する考え方は宗教や文化によって異なり、死後の世界を重視する宗教では、エンバーミングは死後の魂の安寧を妨げる行為と考える場合があります。


エンバーミングを行うかどうかは、家族間の意見対立を引き起こす可能性がありますので、しっかりと事前に家族で話し合いましょう


宗教的な理由でエンバーミングに反対する家族がいる場合は、その意見を尊重しましょう。


3. 事前に見積もりを取る


エンバーミングは費用が高額です。


一般的に、エンバーミングの費用は約20万円~50万円程度です。


業者によって料金が異なるため、エンバーミングを依頼する前に、必ず複数の業者から見積もりを取って比較検討しましょう


また、エンバーミングには、修復や化粧などがオプションの可能性もあります。追加で料金がかかる項目があるかもしれませんので、注意しましょう。


4. エンバーミングに関する基礎知識を知る


エンバーミングはすべての遺体に対して行えるわけではありません


死因や遺体の状態によっては、エンバーミングを施せない場合があります。


また、エンバーミングは遺体の腐敗を完全に止めるものではなく、時間経過とともに徐々に変化していきます。


エンバーミングは、遺体の燃焼状態や遺骨の色などが変化させるなど、火葬に影響を与える可能性があることも覚えておいてください。


まとめ

エンバーミングは、故人を生前の姿に近づけ、大切な人と過ごす最後の時間を豊かにする選択肢の一つです。


エンバーミングは遺体を衛生的に長期間保存できるだけではなく、故人とゆっくりお別れをすることが、ご遺族の心のケアにもつながります。


エンバーミングは、悲しみを乗り越え、前向きに生きていくためのサポートにもなるのです。


しかし、メリットだけでなく費用面や宗教上のデメリットも理解した上で、ご自身の価値観や家族の希望に合わせて検討することが大切です。


エンバーミングについて疑問や不安がある場合は、葬儀会社やエンバーミング業者に相談することをおすすめします。


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