社葬や合同葬をご検討中の方へ 〜会社が施主となる葬儀について〜
はじめに
近年葬儀の多様化や縮小化が進んでいますが、創業者や社長など、企業の代表的な存在が亡くなった際には、たくさんの人が参列する合同葬や社葬を執り行うことが多いかと思います。
また、会社のトップでなくても、役員や企業や会社に多大な貢献をした人であれば社葬で故人の功績を讃えて弔うことも一般的です。
社葬か合同葬、どちらにするか迷っている場合や、相談事があればぜひお気軽に「ベルホール」にご相談ください!
大規模なお葬式や、宗派を問わないセレモニーの実績も豊富です。
遺族にとってはもちろんですが、社葬と合同葬は企業の活動の一つとして会社にとっても重要な意味を持ちます。
しかし、事前に何を準備しておけば良いか、どのように進めたらよいのかわからないということも多いでしょう。
当コラムでは、社葬と合同葬をご検討中の方が気になる疑問を解消していきたいと思います。
事前準備や葬儀の当日の流れについてもご説明していきますので、ぜひご参考になさってください。
社葬と合同葬の違い
◇◇◇主な違い◇◇◇
社葬とは、遺族などの身内のみで密葬(遺族、親族のみの小規模な葬式)を終えた後に、後日改めて会社や企業関係者向けに行われる葬儀のことを言います。
特に創業者など会社のトップが亡くなった場合に、会社や企業が施主となって行われます。しかし、喪主は一般的な個人葬と同様に、遺族が務めるのが一般的です。
このように、会社や企業が遺族に代わって施主を務めるのが社葬の1番の特徴です。
そして、「葬儀委員長」が会社や企業の代表者になり、対外的な挨拶なども行います。故人が役員や会長などの上の立場である人なら、一般的には社長が務めます。
合同葬とは、文字通り複数の主催者(会社や企業と遺族など)が合同で行う葬儀のことを言います。
合同葬は、カテゴリーとしては社葬と一緒ですが、最も大きな違いは、密葬と本葬を分けずに遺族と会社や企業が合同で葬儀を執り行う点にあります。
この二つの大きな違いとして、「費用の負担」「開催までの期間」が挙げられます。
社葬での費用大部分の負担は企業側であるのに対し、合同葬は企業と遺族とが費用を按分します。
社葬は先にご遺族で個人葬(密葬)を行った1~2ヶ月後に改めて葬儀を執り行いますが、合同葬は基本的に1週間以内に行われます。
また、合同葬も社葬も、多くの参列者が予想されるため、喪主や遺族、葬儀委員長は対応に追われることがあります。
◇◇◇役割の違い◇◇◇
- 【喪主】
- 喪主は、故人に代わって参列者を迎えるための対応や挨拶など、葬儀を主宰する役割を担う人のことです。
- 一般的には故人と血縁関係の濃い遺族(配偶者や子供)が喪主を務めます。
- 【施主】
- 施主は、葬儀に関することの管理や運営を行い、費用を負担する役割を担う人のことです。
一般的な個人の葬儀では、喪主と施主は同じですが、社葬や合同葬では費用を負担する企業や会社の葬儀(実行)委員長が施主を務めます。 - そのため、特に合同葬で葬儀を滞りなく進めるには、実行委員や委員長と遺族が互いにしっかりと協力し合う必要があります。
- 【葬儀実行委員、委員長】
- 葬儀実行委員は、合同葬や社葬の際に遺族や葬儀会社と連携して企画や準備を進める役割を担う、故人の属する企業の人たちのことです。また、委員長は、主に経営者や社長など企業の代表が務めます。
- 社葬では、最高責任者として葬儀を執り行う委員長が、喪主よりも葬儀進行に責任を持つことになります。
社葬か合同葬かを決めるポイント
まずはじめにお伝えしておくべことは、「どちらで故人を弔うにしても、ご遺族の意向を尊重することが大切」ということです。
そして次に、故人の社会的な立場や、交友関係、予想される参列者数などさまざまな要素から総合的に判断すると良いでしょう。
◇◇◇社葬が向いてるケース◇◇◇
- ①故人が会社経営者や創業者のなどの場合
- 家族経営でない企業のトップや役員などが亡くなった場合には、社葬が向いています。
- ②故人が会社や企業に大きな功績を残した場合
- 功績を讃えると同時に関係者に会社のアピールができるので、社葬が向いています。
- ③故人が著名人や芸能人の場合
- 関係者の数が多いと予想されます。準備期間に余裕があり、さまざまな人に参列してもらいやすくなるので、社葬かお別れの会がおすすめです。
◇◇◇合同葬が向いてるケース◇◇◇
- ①故人が会社経営者や創業者のなどの場合
- 家族経営など、社員に親族が多く在籍している会社であれば、密葬を行う必要がないので、特に合同葬が向いています。
- ②故人の知人や友人が多く、顔が広い場合
- 社葬だと親しい友人や知人などが故人とゆっくりお別れすることができないことが多いので、故人の顔が広い場合は、合同葬がおすすめです。
◇◇◇ポイント◇◇◇
故人が有名人の場合は、ご遺族の普通の葬儀(密葬含む)などと分けて改めて社葬やお別れの会を執り行い、大きな会社のトップや役員、会社に貢献した人などは社葬がおすすめです。
また、特に親族で経営している会社であれば、合同葬が良いでしょう。
事前準備
◇◇◇社葬の事前準備◇◇◇
事前に喪主と企業側の葬儀実行委員で打ち合わせをします。
社葬では会社が主体(施主)となって故人を弔いますが、遺族の意向などの確認は必須です。
また、その前に遺族、親族で行う個人葬(密葬)には会社側は関与しないため、喪主は施主として費用を負担し、葬儀運営も行います。
会長や社長など会社にとって大きな存在が不在になると、社内は慌ただしい雰囲気になります。しかし、社葬の当日に取引先や関係者にそれが伝わってしまうと、会社の今後を心配されてしまいます。
会社が堅固であるというアピールのためにもしっかり準備をしましょう。
- 1.規定の確認
- 社葬取扱規程、緊急連絡先などの確認を行います。
- 2.葬儀委員、委員長の決定
- 基本的に会社のトップを委員長、役員や総務が葬儀委員を努めます。
- 3.日程や葬儀の基本内容の決定
- 親族と葬儀社などと相談して日程や式場、参列者の人数に合わせた規模などを打ち合わせて決めます。
- 細かい内容は基本的に会社側が主体となって決めますが、ご遺族の意向や宗派は必ず確認してください。
- 4.訃報を出す(社内通達/社外通知)
- 参列者の名簿の用意ができたら訃報を出します。訃報は、喪主(遺族)と施主(葬儀委員長)の連名です。
- 5.準備
- 喪主や遺族と葬儀社、葬儀実行委員での打合せ内容に応じて、それぞれが必要なものの準備を行います。
- 重要な取引先や関係企業の偉い方々の参列が見込まれますので、相手方の会社の事情に詳しい社員を参加させると良いでしょう。また、受付や案内を自社の社員がやることになった場合は、顔の広い社員にお願いしましょう。
- 打ち合わせや準備は企業側は独断で何か決めたりはせずに、必ず常に喪主(遺族)の了承を得ながら進めてください。
- 6.リハーサル
- 導線確認や人員配置、参列者の席次などは必ずチェックしましょう。動画を流す場合は、設備に問題がないかなども確認してください。
◇◇◇合同葬の事前準備◇◇◇
事前に喪主が企業側の葬儀実行委員と、葬儀の進行や費用負担の打ち合わせをします。
葬儀実行委員、喪主を中心に葬儀準備を始めますが、それぞれの役割や費用の分担などの細かい内容は、場合によって様々です。
また、火葬した後に行う社葬とは異なり、火葬前から企業が儀式に関わります。そのため、かなり短時間での打ち合わせや準備が必要になりますので、うまく連携をとりながら進めましょう。
通夜や葬儀の流れは個人葬や一般葬とさほど変わりありません。
- 1.日程や葬儀の基本内容の決定
- 喪主や遺族と葬儀社、葬儀実行委員で日程や式場、参列者の人数に合わせた規模など細かい内容を打ち合わせて決めます。
- 2.規定の確認
- 企業側は、社葬取扱規程や緊急連絡先などの確認を行います。
- 3.訃報を出す(社内通達/社外通知)
- 社内の緊急連絡網や取引先の連絡リストで迅速に周知します。
- 4.準備
- 喪主や遺族と葬儀社、葬儀実行委員での打合せ内容に応じて、それぞれが必要なものの準備を行います。
- 重要な取引先や関係企業の偉い方々の参列が見込まれますので、企業側は、相手方の会社の事情に詳しい社員を参加させると良いでしょう。また、受付や案内を自社の社員がやることになった場合は、顔の広い社員にお願いしましょう。
- 打ち合わせや準備は企業側は独断で何か決めたりはせずに、必ず常に喪主(遺族)の了承を得ながら進めてください。
- 5.リハーサル(やる場合は)
- 導線確認や人員配置、参列者の席次などは必ずチェックしましょう。動画を流す場合は、設備に問題がないかなども確認してください。
当日の流れ
社葬も合同葬も、受付後は以下のような流れが一般的です。
しかし、社葬では読経や焼香などを省き、宗教色をあまり出さないこともあります。
開式の辞 → 喪主挨拶、弔辞拝受、弔電披露 → 読経・焼香、玉串奉奠、献花等(宗派によって異なります) → 葬儀実行委員長挨拶 → 閉式の辞 → お見送り
◇◇◇社葬の当日の流れ◇◇◇
- ①社員の集合、最終確認
- ・葬儀実行委員をはじめとする、当日の手伝いの社員が前もって集合し、当日の最終確認をしましょう。特にスケジュール、席次順を把握しておきましょう。
- ・実行委員と実行委員長は、弔電や供花の確認を必ず行ってください。
- ②ご遺族、ご遺骨(ない場合も)のお迎え
- ③葬儀・告別式を行う
- ・所要時間は1~3時間。
- ・内容はほとんど個人の通常の葬式、告別式と変わりありません。
- ④ご遺族、ご遺骨(ない場合も)のお見送り
- ⑤社葬後
- ・片付け、香典の集計、芳名帳の整理、会葬礼状の発送などを行います。
◇◇◇合同葬の当日の流れ◇◇◇
- ①通夜を行う
- ・所要時間は1~3時間。
- ・内容はほとんど個人の通常の通夜と変わりありません。
- ・多くの参列者の対応があるため、個人の葬儀よりは時間が長い可能性があります。
- (ご僧侶の人数も参列者によって複数人になる可能性も。)
- ・喪主だけでなく、会社側の担当者(合同葬の委員長)も挨拶することがあります。
- ②通夜振る舞い
- ・所要時間は1~2時間。
- ・内容はほとんど個人の通常の通夜振る舞いと変わりありません。
- ※通夜の後に行われる、「通夜振る舞い」は参列者が食事をしながら故人の思い出話などをして故人の死を悼むものです。
- ③葬儀・告別式を行う
- ・所要時間は1~3時間。
- ・内容はほとんど個人の通常の葬式、告別式と変わりありません。
- ・告別式は遺族や親族のみで行うこともあります。
- ④出棺
- ・所要時間は5~20分。
- ・内容はほとんど個人の通常の出棺と変わりありません。
- ・葬儀会社のスタッフ、もしくは遺族などで棺を霊柩車に運び込みます。
- ・喪主の挨拶があります。
- ・参列者は必ず手を合わせ、霊柩車が去る所までお見送りしましょう。
- ・一般の参列者は出棺が終わったら帰宅します。
- ⑤火葬、収骨
- ・所要時間は1~2時間。
- ・内容はほとんど個人の通常の火葬、収骨と変わりありません。
- ・火葬場で焼骨している間、控室などで待ちます。
- ・火葬が終わったら、骨壷に故人の遺骨を収めます。
- ・遺族でない限りは葬儀実行委員や手伝いの社員は参加しません。
- ⑥初七日法要、精進落とし
- ・近年は、葬式、告別式の日に繰り上げて「初七日法要」と「精進落とし」を行うケースが多いようです。
- ・精進落としの席は特別な事情がない限りは必ず出席しましょう。近年では感染予防のために、会食ではなくお弁当を渡すこともありますが、こちらも弔いの意味がありますので必ず受け取ってください。
詳しい葬儀の流れについては「こちらのコラム」をご覧ください。
費用について
◇◇◇社葬◇◇◇
- 【費用の目安】
- ・500万~2,000万円
- →参列者500名であれば平均1,000万円
- 大規模のものであれば約1,500万円~2,500万円
- 【支払いについて】
- 社葬の費用は福利厚生費として損金処理することができますので、基本的に会社や企業などの主催者側が支払います。
- ~主に会社負担になるもの~
- ・会場使用費用
- ・葬儀社への支払い全般
- ・装飾費用(供花など)
- ・人件費
- ・訃報、案内状、会葬令状などにかかる費用
- ・マイクロバス、ハイヤー料金
- ・映像やパネルなどの制作費用
- ・死亡広告費用
◇◇◇合同葬◇◇◇
- 【費用の目安】
- ・500万~2,000万円
- →参列者500名であれば平均1,000万円
- 【支払いについて】
- 葬儀費用は遺族と企業で分担するので、社内の社葬取扱規程などを元に話し合いましょう。
- 基本的に、領収書を発行し損金処理ができるものが企業の負担で、宗教に関すること(お布施など)は領収書が発行できないため遺族側の負担となります。
- ~主に会社負担になるもの~
- ・会場使用費用
- ・装飾費用(供花など)
- ・人件費
- ・訃報、案内状、会葬令状などにかかる費用
- ・マイクロバス、ハイヤー料金
- ・映像やパネルなどの制作費用
- ・死亡広告費用
- ~主に遺族負担になるもの~
- ・僧侶や菩提寺に支払う費用(お布施、戒名料やお車代など)
- ・納棺に関する費用
- ・火葬に関する費用
- →企業が負担してくれる場合もあります
- ・墓や仏壇に関する費用
- ・香典返し
- ・お斎代(通夜振る舞いや精進落とし)
- →企業が負担してくれる場合もあります
◇◇◇ポイント◇◇◇
- ・何が経費になるか事前に確認しましょう。
- ・領収書や見積書はしっかり保管しましょう。
- ・役割や費用の分担について話し合う際は、必ず議事録をとるなどしてトラブルにならないようにしておきましょう。
- ・合同葬や社葬の費用は、法人の経費だけでなく、遺族側の相続対策に活用できる可能性もありますので、相続に詳しい専門家に相談すると良いでしょう。
- ・参列者の人数や範囲を決めておきましょう。
- ・香典や供花を受け取ると費用負担を軽減することができますが、基本的に遺族が受け取るようにしてください。(香典は会社で受け取った場合、雑収入扱いになるため。)
まとめ
冒頭でも述べたように、遺族にとってはもちろんですが、社葬と合同葬は企業の活動の一つとして会社にとっても重要な意味を持ちます。
社葬に関わる機会は少なく、まして実行委員などとして携わる人はごく限られています。 また、人の死という別れはいつ訪れるかわかりません。
そのため、それまでの準備が難しいものですが、会社が主体となって執り行なう以上しっかりと良い葬儀にしなくてはなりません。
企業が主体となった葬儀がいつ執り行われることになっても、慌てずに対応できるように社葬取扱規程などを制定して葬儀にまつわる決まりを作っておきましょう。
また、社葬の対象者やそれを扱う部署、大まかな役割なども一緒に決めておけば、いざという時に混乱せずに滞りなく葬儀ができるでしょう。
経理上の実務は担当の税理士にお願いしている場合であっても、社葬や合同葬の費用の内訳や損金処理などについては把握しておく必要があります。
事前準備をしっかりとして、社葬や合同葬を成功させてくださいね。
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