葬儀の席順(座次)は どうやって決めるの? ~マナーとポイント~
はじめに
お葬式は、故人にとっては人生最後の大きなイベントであり、遺族や、故人がお世話になった方や友人など、周囲の人にとっても大切な最後のお別れの儀式です。
そのため、葬儀の席順を決めるには様々な要素を考慮する必要があります。
喪主をはじめ、遺族の方は、葬儀にご列席いただいた方に失礼のないようにしたいと思うことでしょう。
また、親戚間のトラブルになることも避けたいですよね。
しかし、どうやって席順を決めれば良いのか、そのポイントは意外と知らないものです。
列席者の皆様には好きな場所に座っていただきたいところですが、トラブルにならないためには「伝統や慣習に基づいて席順を決める」ことが大きなポイントになります。
なぜかと言うと、日本のお葬式は宗教的(主に仏教)な要素が強いため、高齢の方や伝統や文化を重んじる方は席順を重要視する傾向にあるからです。
本記事では、葬儀の席順に関する慣習やマナー、決める際のポイントに焦点を当てて詳しく解説していきます。
喪主や遺族として、葬儀を執り仕切る方はぜひ参考になさってくださいね。
余談ですが、お葬式にまつわる席順のことは「座次(ざじ)」と言いますが、「席次」などと使い方も意味も一緒です。
上座と下座の基本
まず、一般的に葬儀の席順を決めるのは喪主や主催者です。
席順を決める際に気をつけておく基本的な原則は、「上座」と「下座」を意識することです。
祭壇に近い方が上座で、全体の席の構成は「親族席」と「一般席」に分けられます。
普段の親族の集まりなどでは、血縁関係の序列や席順を意識していない方たちであっても、仏式の葬儀であれば、仏教の教えや考え方に則って座次を決めるのが望ましいでしょう。
また、親族以外の一般席の参列者は、式の進行や公平さを保つために、特定の人物やグループを優先することなく、案内された順に座ってもらうことが多いようです。
しかし、故人との親密さや関係性を重視し、あらかじめ座席が指定されていることもあります。
ただ、あくまで下記の基準は仏式の典型例ですので、葬儀を主催する家族や関係者は、葬儀の形式や地域の慣習を考慮しながら適切な席順を決めましょう。
◇◇◇親族席の場合◇◇◇
- 葬儀においては、故人の近親者が儀式を主催し、優先的に「上座」に座ります。
- 基本的な順番は「喪主」→「遺族」→「その他親族」となります。
- そこにプラスして、配偶者や子供、親などの関係性が考慮されます。
【主に考慮する要素】
- ・配偶者は最前列、その後に子供、兄弟姉妹、その他の親族という順番にする
- ・年長者を上座にする
- ・父母や祖父母などの直系の親族は、前の方の席にする
- ・本家と分家であれば、本家を上座にする (本家とは一族のメインの血筋の長男の家庭のこと。分家とは次男以下の家庭のこと。)
【特別な例】
- ・故人と特に縁の深い親族や友人は、親族席の前方(上座)にすることがある
◇◇◇一般席の場合◇◇◇
- 親族以外の参列者は、親族席と異なる一般席に座ります。
- 一般の参列者は到着し、案内された順に前方から座ることが多いので、基本的に自由に座ってもらってOKです。
- また、故人との親密さや関係性を重視し、あらかじめ座席が指定されていることもあります。
- 例えば重要な人物(仲の良い人や故人の恩師や上司など)がいる場合は上座の席順のみ喪主が決めます。
- 事前に決めておく際の基本的な順番は「世話役」→「会社上司」→「友人代表」→「友人」→「知人」となります。
- 友人や同僚などの関係性によっても席順が変わることもあります。
【主に考慮する要素】
- ・一般席の席次は、参列者が葬儀場に到着した順に割り当てると式が円滑に進行する
- (その際は葬儀場のスタッフなどの案内係の指示に従ってもらう)
- ・あらかじめ座席を指定する場合は、年齢や地位による配慮をする
- ・高齢者や身体的に不自由な人々は、補助のしやすい、または出入りのしやすい席を割り当てる
- ・故人やその家族と特に縁の深い友人や知人は、一般席においても上座を用意する
【特別な例】
- ・仏教の僧侶や、地域の重要な人物などがある場合は特別な席、または上座を用意する
男女は「男性が上座」?
これまでの伝統的な価値観では、男性が上座に座ることが一般的でした。
なぜかというと、結婚するということは「嫁入り」つまり、「男系の家庭に入る」とされていたためです。
古くから、武家や天皇家の世継ぎのシステムは男系が主軸とされ、戸籍や家系図など公的なものにも影響しました。
今でも多くの女性は結婚と同時に男系の姓に改名します。
そして、こういった考え方は、多種多様な宗教的、文化的背景が元となり現代まで続いてきました。
しかし、「男性が上座、女性が下座」という考え方は過去のもので、現代では「ジェンダーレス(男女平等)の観点から、性別によって席順が決まることは少なくなってきています。
むしろ、故人との関係性が席順を左右することが一般的です。
ただ、今でも冠婚葬祭の場では、根強く男系を尊重する文化がマナーとされることが多いのも実情です。
特にお年寄りの人や、社会的体裁を気にする人の多いお葬式の場合は「男性を上座に」と主張される方もいらっしゃいますので、そういった個々のご家庭の事情を汲んで席順を決めるのが良いでしょう。
席順を決める大きなポイント5つ
葬儀の席順を決める際に重要なポイントは以下の5つです。
①故人との関係性
席順は故人との関係性を考慮しましょう。
近親者や親しい友人は優先的に上座に座ります。
友人や同僚においても、関係性に基づいて席順が決まるので、共通の友人や仕事仲間などは同じ列に座ることが一般的です。
②役職や社会的地位
仕事や地域社会での役職や地位も考慮しましょう。
故人の会社の社長や上司、または社会で尊敬されるような、何か功績を残した方などは通常、故人と親しくなくても上座(前列)や特別な席を用意することがあります。
③家族構成
本家や分家、親族構成を考慮しましょう。
基本的には故人の遺族を上座に、順に血縁の濃い人を座らせますが、家の格式や家族の役割も席順に影響します。
「正式な血縁の濃さ」のシステムで席を決める場合は、喪主→故人の親→故人の子供→故人の兄弟、姉妹→叔父、叔母→故人の孫→故人の配偶者→故人の子供の配偶者 の順です。
この決め方では、同居する遺族(配偶者)であっても血の繋がりがないと下座になります。
また、親族席は本家が上座、分家が下座になるのが一般的です。
④年齢
年長者を敬いましょう。
年長者は上座に座らせることが一般的です。
特に「年功序列」のシステムで席を決める場合は、喪主→祖父母→叔父や叔母→故人の両親→故人の兄弟、姉妹→故人の子供→故人の孫 の順です。
例え遺族でも若い人は下座になります。
⑤宗教的要素
葬儀が行われる宗派や地域の宗教的な慣習を考慮しましょう。
特定の宗教的な役割を果たす人や、その地域で重要な宗教的指導者がいる場合、彼らは上座や特別席に座ることが一般的です。
席順のよくある疑問
Q: 家族はまとまって座らなくてはいけない?
- A: 「正式な血縁(血の繋がり)」を重視した席順なのか「家族」を重視した席順なのかによります。家系や地域の慣習、または故人や遺族の意向を尊重しましょう。
Q: 「自由に座って」と案内した一般席の座席が偏りがあった場合は?
- A: 席が決められている上座と下座にのみ人が集まってしまった場合は、下座に座っている方に前の方に詰めてもらうように案内係から声をかけてもらうと良いでしょう。
Q: 乳幼児連れや介助が必要な方の席はどうすればいい?
- A: 本来上座に座ってもらうべき人でも、出入り口に近い場所(下座)に座ってもらい、トイレや授乳室などに移動がしやすいようにしてあげましょう。
- マナーよりも安心や安全を優先した席順にする必要があります。
Q: 故人の子供(本来喪主となる人)が幼い場合、どの席にすれば良いですか?
- A: 故人の子供は通常、親族の中で最前列に座りますが、年齢によっては、後見人や故人と縁の深い親族を最前列にして、その隣などに座らせると良いでしょう。
Q: 故人と仲のいい友人(親友)でも一般席に座ってもらいますか?
- A: 故人の友人は通常は一般席に座ります。しかし特に故人と仲の良かった人は親族席であったり、一般席の上座に座ることも多いです。
- また、年齢の近い友人同士は近くに座ることができます。ただし、友人代表がいる場合は、その方を上座にしましょう。
Q: 葬儀に参列する人数が多い場合、席次はどのように決められますか?
- A: 参列者が多い場合、通常は到着順や案内係の指示に従って、一般席の席次が決められます。また、葬儀場の設備や広さに応じて、座席の配置が調整されることもあります。
Q: 僧侶や宗教関係者はどこに席を用意しますか?
- A: 僧侶や宗教者は通常、葬儀の儀式を主宰する役割を果たすため、親族席の前や祭壇の近くに特別な席を用意します。
Q: 仏教の葬儀において、非仏教徒や異宗教の人々の席はどうしますか?
- A: 異宗教の方であっても通常通り一般席に座ってもらいましょう。彼らの席次は、到着順や案内係の指示に従って決められます。
Q: 配偶者の両親と故人の両親の席次はどうなりますか?
- A: 通常は親族席の前列に座ってもらうことが一般的です。これは、家族としての地位や敬意を示すためです。
まとめ
葬儀の席順は、伝統や慣習、現代の価値観など様々な要素が複雑に絡み合っています。
そのため、故人との関係性や役職、家族構成や地域の慣習などを考慮しながら、適切な席順を決めることが大切です。
特に親族席は「正式な血縁の濃さ」を重視するか、「年功序列」を重視するかなどによっても、席順の決め方が異なります。
また、葬儀の席順は基本的に喪主が決めますが、故人の意思もしっかりと尊重してあげてくださいね。
世話役や会社の社長や上司などを上座にするのは基本マナーですが、故人と特に親密だった友人などは上座にしてあげた方がいいでしょう。
故人の生前に残した遺言やエンディングノートなどを参考にすると、故人の希望に沿った素敵な葬儀になると思います。
ご自身やご家族の葬儀について事前に相談しておきたい場合はぜひ三光商会の「ベルホール」にご連絡ください。
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